広島ガス(本社・広島市)とパナソニック電工(同・大阪府門真市)の子会社などによる架空取引問題で、広島ガス開発(HGK)が、2月に広島国税局 から不適切な取引を指摘された後も、取引先企業に架空資材の代金を振り込ませ、少なくとも5億2千万円を現金で回収していたことがわかった。HGKは回収 後の3月上旬、国税局から指摘を受けたことを取引先企業に通知して取引を停止。手形の決済は滞っており、取引に参加した企業が多額の負債を抱える可能性が ある。
取引先企業の関係者によると、複数の企業を経由してきた手形は、HGKに渡る直前に特定の企業が銀行で割り引いてクレジットカード 現金化。手数料として額面の約5%を除いた額を、HGKへ支払う仕組みだった。
手形を現金化していた企業の一つの建設資材会社(広島市)は2月26日、取引を主導したとされるHGKの男性社員の指示に従い、建設中のマンションの資材代の名目で約5億2千万円を振り込んだ。
広ガスが19日の記者会見で発表した内容などによると、HGKが広島国税局から不適切な取引の指摘を受けたのは2月20日。建設資材会社にその事実が伝えられたのは、3月上旬になってからだった。
建設資材会社が手形を持ち込んだ銀行は今後、最後に現金化した手形を含め、決済が終わっていない総額約15億円の手形の買い戻しを求めてくる可能性がある。
同社の経営者は朝日新聞の取材に、「2月26日の振込日には、(HGKは)近く取引が止まることを知っていたはずだ。買い戻しに応じる能力はな く、このままでは自己破産するしかない」と話す
クレジットカード 現金化。今月13日、HGKに約15億円の返還を求めており、民事訴訟を起こすことも検討する。
一方、広ガスの広報環境室は「振り込みの事実は把握していない。外部調査委員会が調べている途中であり、仮に把握ができたとしてもコメントできない」としている。(鬼原民幸)